『今日のハチミツ、あしたの私 – 著/寺地 はるな』の感想。

寺地はるなさん、『今日のハチミツ、あしたの私』を読ませていただきました。

恋人の故郷である朝埜市で、蜂蜜園の手伝いを始めることになった碧。蜜蜂たちの暮らしの奥深さを知る日々のなか、十六年前に自分の人生を助けてくれた不思議なできごとを思い出す――。草木がゆたかに花を咲かせる小さな町。不器用な家族の愛が心にしみる、書き下ろし長篇。

寺地はるなさんの作品は初読み。田舎の雰囲気と家族の距離感が妙にリアルに描かれていました。

冒頭、人生が嫌になっていた主人公の碧が見知らぬ子連れの女性に救われる場面で、女性に言われていた、

あなた自身が、あなたを大事にしていないから。あなたがあなたを嫌っているから。だから周りの人はみんな、ますますあなたを大事にしないし、嫌いになる。こいつはそういうふうに扱ってもいいんだって思われてしまう」

このセリフに妙に納得。最近の学生とか、特に。
碧がこのシーンでもらった「百花蜜」も気になる。明日買って来よう。

そこから時間は飛び、30歳になった碧が恋人との結婚の為に何もかもを捨て、
新しい場所で自分の居場所を作っていくお話。

結婚のために、と言われついて来たのに、肝心の恋人はふらふらしてるし、
恋人の父親には散々な事を言われるしと悲惨な結果に…
しかし自分が決断した以上、碧はうまく行かないことを相手のせいにはしない。
冒頭で死に掛けてた人とは思えないくらい強くなっていた。(誰が見ても9割以上恋人の所為だとしても…)

そこから、知らない土地でひたむきに頑張る碧に答えるように、
周りで応援してくれる人達がみんな素敵で心が温かくなる。

登場する人達は不器用な人達ばっかりだけど笑 そこも魅力。

恋人は最後までどうしようもないくらい弱くて、
頼りない人間だったけど、主人公の事を想い続けていた辺りは救いかな。

はちみつをもうひと匙足せば、多分あなたの明日は今日より良くなる

ほんの些細なことで明日は変えられる。
前向きになれる気持ちの良い読後感でした。